サン ファン デ ロス ラゴスの聖母/Virgen de San Juan de Los Lagos





メキシコ珍寺武者修行2、お次はサカテカスからバスに乗り、サン ファン デ ロス ラゴスという街に着いた。

メキシコ第二の都市、グアダハラと同じくハリスコ州にある小さな街で、唯一の見どころは街の中心に建つカテドラルだ。




ここもまた大勢の人が訪れている。




個人的な印象だが、どの街もカテドラルって建物の規模の割にガラーンとしているイメージがあるのだが、ここのカテドラルは人出が多い。




祭壇の中央には青いマントをまとったマリア像が立っている。

信仰の熱のようなモノを感じる。




メインのスペースに脇に別室があって、そこに人々が吸い込まれていく。




そこには壁いっぱいにエクスヴォトが掲げられていた!




エクスヴォトは天井に届く勢いで整然と並んでいた。




その数は圧倒的だ。

エクスヴォトを奉納する行為は教会側が推奨しているわけではない。

これは人々の自発的な行為であり、教会側もどちらかというと「ほどほどにしてくださいよお~」的な扱いかと思われる。

…というのも、このエクスヴォトを飾るスペースというのが大抵聖堂の奥、しかもあまり目立たないような場所に置かれている事が多いからだ。




これは日本の寺院と奉納物の関係にも似ている。

日本でも奉納物は本堂に置かれることは少なく、本堂とは別の絵馬堂や観音堂、地蔵堂などに掲げられているケースをよく目にする。

これはつまりあくまでも寺社側が奉納を推奨しているわけではないんですよ、というエクスキューズと考えられる。




自転車まで奉納されている。

近くに自転車レースに優勝したぜ、グラシアス、マリア様!みたいなエクスヴォトがあったので勢い余って自転車まで奉納してしまったのだろう。




ギターの奉納も多い。

ソンブレロも一緒に奉納されているところを見るとマリアッチが奉納したと考えられる。




新たに御礼の写真を貼る家族連れ。父ちゃん、トラック運転手なんだね。新車購入の御礼なのかな。




サッカーのユニフォームは優勝の御礼だろう。

メキシコは野球もサッカーも盛んだ。




旋盤で指、切ってまったけど何とか繋がりました。ありがとうマリア様!的なエクスヴォト。




拉致られたけど生きて帰れました。




髪の毛を編んで作った王冠型エクスヴォト。

凄い執念だ。




赤ちゃんの病気が治ったのでママの毛髪を神に捧げたエクスヴォト。




子供が描いたのだろう。稚拙な絵だけに余計信仰心の篤さがビンビン感じられる。盲腸手術の御礼。




うー!痛そう!治って良かったですね。




おー、大手術ですね!御無事でなにより。




これはチョット判り難いのだが、妊娠3か月で中絶した人が奉納したみたい。

ニュアンスが判らないのだが、法的に中絶が認められてラッキー、という意味なのだろうか?


メキシコでも2023年に最高裁で中絶が合法化されたが、それ以前は様々な制限があったようだ。

もちろんその根底には中絶を良しとはしないカトリックの姿勢があったはず。





松葉杖と装具。




うわ!だ、大丈夫…なん…ですよね?




家族全員で家人の病気平癒をマリアに祈る図。

外面左端に半分描かれているのが、ここの教会のマリア像である。




熱心に他人の奉納したエクスヴォトに見入る人も多い。




エクスヴォトにはカトリックの教えに相反する中絶、同性愛、売春、不倫、犯罪などのテーマがたくさん登場する。


それはメキシコの庶民のリアルな姿でもあり、それを堂々とカトリックの教会の中に捧げる精神が私は凄く面白いと思う。

熱心なカトリック信者なんですけど不倫しちゃいましたー、てへぺろ。みたいな感じなんだろうか。

教会サイドとしてはあまり大っぴらにしたくないから教会の端っこに飾るんですかね。

それでもカトリックの教義に沿わないから撤去するような野暮なことはせず、そのまま掲示するところが大らかで面白い。

そんなところがメキシコのエクスヴォトの魅力なのだ。




マリア像の周辺には祈りを捧げる人の列が絶えない。




聖堂脇にはキリストの一生を示したレリーフが続いていた。







次の修行へVAMOS!

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